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大阪地方裁判所 昭和26年(行)18号 決定 1951年5月26日

原告

名井得三

被告

旭税務署長

右当事者間の当庁昭和二十六年(行)第十八号所得更正決定取消事件について原告より被告が昭和二十五年八月二十七日原告に通知してなした原告の昭和二十四年分所得税の更正決定の執行停止を申立て、その理由として被告は原告に対し右国税の滞納処分として差押をなし更に昭和二十六年五月二十六日公売すべき旨告示したが公売価格が取得価格の十分の一ないし二十分の一であり、原告はその額の損害賠償を受け得るに止まるから原告はこれにより回復することのできない損害を蒙るのみならず差押物件の大部分は原告その家族及び第三者の日常生活上欠くことのできないものであるから右公売が続行せられるにおいては人間としての最低生活すら維持できなくなり、このことは償うことのできない損害を避けるため緊急の必要ある場合にあたるというのであるが原告の疎明によつては未だ原告が右公売の続行によつて償うことのできない損害を受けるものとは認めがたいから、この執行停止を求める本件申立は失当である。よつて当裁判所はつぎの通り決定する。

主文

本件申立を却下する。

(裁判長裁判官 浜本一夫 裁判官 鈴木敏夫 裁判官 坂井芳雄)

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